2018年9月25日の「林修の今でしょ講座」で、キムチが健康長寿の秘訣の1つだと紹介されました。教えてくれたゲスト講師は、お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二先生。キムチの持つ驚異的なパワーについての内容をまとめてみました。
Contents
女性の癌による死因の第一位とは?
女性の癌による死因の第一位、皆さんはご存知ですか?
第一位 大腸がん
第二位 肺がん
第三位 すい臓がん
意外や意外。何と大腸がんが第一位なのです。
この20年で大腸がんによる死亡数は、何と1.5倍に拡大しているそうです。
大腸がんになる要因とは?
大腸がんになる要因としては、運動不足、野菜・果物の摂取不足、肥満、飲酒などと言われています。
その中でも最も大きな要因となっているのは、食文化の欧米化にあると言われています。
昔は、魚や高食物繊維の食品をたくさん食べていた私たち日本人。
ですが、生活習慣の欧米化が進み、お肉やファーストフードなど、高たんぱく、低食物繊維の食べ物を好んで食べるようになりました。
その結果、腸内環境が悪化し、大腸がんを引き起こす要因となってしまうのです。
大腸の働き
大腸は、消化された食物の水分を吸収し便を作るという、とても大切な役割を担っています。
大腸が上手く働かなくなると、便秘になったり、お腹にガスが溜まったり…。
その結果、大腸が老けて行ってしまうのです。
大腸が老けると、免疫力も低下し、風邪や感染症にかかりやすくなってしまいます。
そうならないためにも、大腸が正常に活動できるよう、腸内環境を良くしていく必要があるのです。
名医も注目!最強食材「キムチ」
キムチと言えば韓国料理。
韓国でも、キムチは健康と美容に良い食材として、とても重宝されています。
2017年にイギリスの医学誌で発表された論文によると、世界的な長寿大国である日本を抜いて、韓国人の平均余命が2030年までに90歳を超える(世界最高)可能性があるそうです。
これは、キムチによる効果が大きいのではないかと、医療業界で注目されています。
キムチの何が健康長寿に効果があるの?
キムチの何が健康長寿に効果があるのか。
それは、キムチに大量に含まれている乳酸菌。
乳酸菌とは、糖類から乳酸を作り出す細菌の総称のこと。
乳酸菌は腸の活動を活性化し、消化吸収やぜん動運動を促してくれます。
便秘改善、免疫力アップに効果抜群です。
また、腸内には善玉菌・悪玉菌・日和見菌という3種類の菌が存在します。
腸内に悪玉菌が増えると、便秘になったり、お腹にガスが溜まったりして、腸がどんどん老化していきます。
つまり、悪玉菌は、身体に害を及ぼす菌なのです。
その悪玉菌と腸内で戦ってくれているのが、善玉菌!
善玉菌は、悪玉菌の増殖・定着を防ぎ、感染を予防したり、有害な物質を体外へ排出する手助けをしてくれるのです。
腸内の善玉菌を増やすことが、腸の老化を防ぎ、健康長寿に繋がるのです。
善玉菌の種類には、乳酸菌をはじめビフィズス菌やガセリ菌、フェーカリス菌、アシドフィルス菌などもあります。
その中でも最も有名で代表的なものが、乳酸菌なのです。
健康・美容のために、乳酸菌がとても重要な役割を担っているのです。
そして、3つ目の菌である、あまり聞き馴染みのない日和見菌。
この日和見菌は、中立的な立場を保っており、腸内で優勢な菌に加勢する働きを持っています。
つまり、腸内環境が悪く、悪玉菌が活性化している腸内では、悪玉菌に加勢し、腸内環境が良く、善玉菌が活性化している腸内では、善玉菌に加勢するのです。
理想的な腸内細菌の割合は、2:1:7(善玉菌:悪玉菌:日和見菌)だと言われています。
このバランスに近づけるよう、食生活を見直しましょう!
乳酸菌の種類
腸内で善玉菌を増やすのに重要な役割を担っている乳酸菌。
乳酸菌を摂取することで腸内環境を正常に保つことでき、その結果、腸の老化を防ぎ、便秘解消、免疫力アップが期待できます。
また、免疫力が高まることで、風邪や感染症、大腸がんの予防にも繋がるのです。
健康・美容のために一役買ってくれる乳酸菌には、植物性の乳酸菌と動物性の乳酸菌の2種類あります。
キムチ:植物性の乳酸菌
ヨーグルト:動物性の乳酸菌
腸内環境を整えるのに良い食材として、よくヨーグルトが紹介されますよね。
ですが、このヨーグルトに含まれている動物性乳酸菌。
乳酸菌が生きたまま腸に届く確率が、植物性乳酸菌よりも低いのです。
動物性乳酸菌は、牛乳の乳糖をエサに作られます。
30~35度に保温された厳密に衛生管理された環境でしか増えず、他の菌と共生することができません。
また、酸に弱く、胃酸や胆汁に耐えられず死滅しやすいのも難点の1つです。
それと比べて、植物性乳酸菌は、野菜のブドウ糖をエサに作られます。
低温でも増えることができ、様々な細菌や酵母とも共存できます。
厳しい環境下でも育つ植物性乳酸菌。
だからこそ、胃酸や胆汁にも負けず、生きたまま腸に辿り着く確率が高いのです。
これらのことにより、植物性乳酸菌は動物性乳酸菌よりも優れていると言えるのです。
動物性乳酸菌 | 植物性乳酸菌 |
牛乳の乳糖をエサにする | 野菜のブドウ糖をエサにする |
30~35度に保温された環境下で生きられる | 低温でも生きられる |
他の菌と共生できない | 他の菌とも共生できる |
酸に弱く死滅しやすい | 酸に強く生きたまま腸に届く |
植物性乳酸菌とキムチ
本来、生の野菜には少量しか乳酸菌が含まれていません。
ほぼ0に近い割合です。
ですが、その生の野菜を発酵させることで爆発的に乳酸菌が増えるのです。
漬ける前の白菜 | 乳酸菌ほぼ0 |
キムチ1g | 乳酸菌1億個以上 |
キムチにするだけで植物性乳酸菌の数は、何と1億個以上に増えるのです!
それはなぜなのでしょうか?
答えは、キムチにする際に使用する薬味。
薬味が乳酸菌が増える環境を作っているのです。
発酵するために必要となるのが、動物性たんぱく質。
薬味の1つであるオキアミ*が、発酵に必要な動物性たんぱく質のもととなり、乳酸菌のエサになっているのです。
*オキアミ:エビに似た形をした甲殻類の一種
同じ量のキムチとヨーグルトで乳酸菌の保有量を比べてみると…
キムチ | 約1億個 |
ヨーグルト | 約6千万個 |
圧倒的にキムチの勝利ですね。
保有量でも勝っているキムチですが、生きたまま腸へ届く確率ももちろん上です。
これはもう、キムチを食べるしかないですね!
キムチの植物性乳酸菌をより効率良く取るには?
キムチの乳酸菌がより多い状態なのは?
賞味期限ぎりぎりで食べるのが最も効率が良いそうです。
というのも、植物性乳酸菌は、エサが無くなるまでずっと発酵し続けるからなんだとか。
エサが無くなるであろう時期が賞味期限。
賞味期限までは増え続けますが、賞味期限を過ぎると乳酸菌が減って、酸っぱいと私たちが感じる乳酸に変わってくるのです。
ちなみにキムチの賞味期限は2週間~1か月。
キムチを購入する際、食べる際の参考にしましょう。
キムチはいつ食べるのが良い?
植物性乳酸菌を効率よく摂取するためには、夜に取るのが一番効率が良いそうです。
昼間は腸内の運動が活発になり乳酸菌がすぐに排出されてしまうのです。
逆に、夜は睡眠などで腸内の運動が低下します。
その結果、眠っている間、乳酸菌を体内に留めておくことが出来るのです。
乳酸菌が消化管の中に留まっている時間が短い昼間ではなく、しっかり体内に留めることが出来る夜に、美味しくいただきましょう!
1日どのくらいの量のキムチを食べれば良いの?
「キムチが健康・美容のために良い食材だということは分かった。でも、1日どのくらいの量を食べれば良いのか。毎日1パック、毎日2パック…。」
そんな量なら、いくら健康・美容に良いと言われても、無理ですよね。
ご安心を!1日たったの約50gのキムチで腸内を健康に保つことが出来ます。
「約50gってどのくらい?」って思いますよね。
すばり、小皿1杯くらい!
それなら無理すること無く、美味しくキムチを食べられますよね。
今晩のご飯のお供にいかがですか?
キムチには乳酸菌以外の栄養素もあるの?
キムチには乳酸菌以外にコレステロール抑制、便秘解消に効果のある食物繊維や、糖質・脂質の代謝に重要な役割を果たしているビタミンB群も豊富に含まれています。
焼肉などの高カロリーのものを食べる時などに、代謝・消化を助けてくれる働きを持っています。
生の野菜にもビタミンB群は含まれていますが、キムチにすることで代謝を促すビタミンB群の量が増加するのです。
より生きた乳酸菌をとれる食べ方は?
そのまま食べるのが1番効率よく生きた乳酸菌を摂取できます。
というのも、実は生の乳酸菌は熱に弱いのです。
40℃が適正温度で増殖しやすく、60℃になると30分ほどで死滅、100℃になると数秒で死滅してしまいます。
加熱することで、乳酸菌が死滅していまうのです。
ということは、私たちが好んで食べるキムチ鍋の場合、ほとんどの乳酸菌が死んでしまっているということになってしまいますよね?
ご安心を!キムチは加熱してもメリットがあるのです。
熱により死んでしまった乳酸菌は、腸の中で善玉菌のエサとなり、乳酸菌を増やす効果があるのです。
また、死んだ悪玉菌を吸着して体外に排出する働きもあります。
死んでも尚、素晴らしい働きをしてくれる植物性乳酸菌!頼もしいですね!
とはいえ、生きた乳酸菌を取るなら生のままキムチを食べるのが一番効率が良いので、両方バランスよく食べましょう♪
巷では、追いキムチという言葉があるそうです。
どういうものかというと例えばキムチチャーハン。
まず、キムチチャーハンを炒めた後、トッピングとして生のキムチを使用。
そうすることでWの効果を得ることが出来るのです。
死んだ菌は善玉菌のエサになり、生きた菌は善玉菌を増やす植物性乳酸菌。
追いキムチ。ぜひ、食生活に取り入れましょう!
最新研究で発見!新たな乳酸菌?
日本の研究機関が1999年にキムチに含まれる新しい乳酸菌を発見したそうです。
それは、キムチが持つ最強乳酸菌「ラクトバチルス・サケイHS-1」!
2010年に行われた実験で凄い効果が明らかになったのです。
その驚くべき内容とは…
キムチが持つ最強乳酸菌「ラクトバチルス・サケイHS-1」
→ 免疫を活性化させる効果が、ビフィズス菌の100倍!!!
免疫力とは、身体の外から侵入した細菌やウイルスを撃退する力のこと。
免疫力が下がると風邪や感染症にかかりやすくなるのです。
免疫力低下の原因の1つは腸内環境の乱れによるとされています。
というのも、体内の免疫細胞は約70%が腸にいるからなのです。
腸内環境を整えることで、免疫力がアップし、健康な身体を維持し続けることが可能になるのです。
最強乳酸菌のラクトバチルス・サケイHS-1。
いくら最強と言えども、乳酸菌であるから熱に弱いのも事実です。
ですが、成分が免疫を活性化させているため、他の植物性乳酸菌と同様に、死んでも免疫力を活性化させる力が期待できます。
名医おすすめ!1番効率の良いキムチの食べ合わせ
それは、ずばり「キムチ納豆パスタ」!!!
名前から想像するだけでも美味しそうですが、私たちにもたらしてくれる効果も抜群なのです。
まず、健康食材として有名な納豆。
納豆の原料に含まれている大豆に含まれるオリゴ糖。
このオリゴ糖が乳酸菌のエサとなってくれます。
そして、納豆にだけ含まれているナットウキナーゼ。
心筋梗塞や脳卒中の原因となる血栓を溶かす効果が期待できるのです。
キムチを作る際に使用するニンニクに含まれるニオイ成分、メチルアリルトリスルフィドも血栓を作りにくくする効果が期待できるので、Wの効果が期待できます。
キムチと納豆、相性抜群です!
作り方はいたって簡単。
キムチと納豆を混ぜ合わせ、茹でたパスタに和えるだけ♪
また、キムチのつけ汁は水溶性ビタミンや乳酸菌を含んでいるのでタレとして一緒に使用するのもおすすめです。
健康・美容に良いだけではなく、忙しい平日などに時短レシピとしても重宝できそうですね。
ぜひ、自身のレシピに取り入れてみてください。
まとめ
名医おすすめの最強食材「キムチ」。
大好きな食材の一つとして好んで食べていましたが、こんな嬉しい効果があったとは驚きです。
キムチには、白菜・カクテキ・オイキムチ・ケンニプキムチ・ヨングンキムチなど様々な種類がありますよね。
カクテキには胃潰瘍・胃がんの予防が期待できるスルフォラファン。
オイキムチには血圧を低下させる作用があるカリウム。
βカロテンが豊富で強い抗酸化作用を持つケンニプキムチ。
ビタミンC・ミネラルが豊富で疲労回復効果に期待できるヨングンキムチ。
漬ける野菜の種類によって様々な効果を期待できるキムチ。
可能性はまだまだ未知数です!
ぜひ、今晩のご飯のお供としてキムチを取り入れてみてはいかかでしょうか?